45年のベクトル
45年前、新幹線の3人掛窓際の席の私に声をかけてくれた。
葵祭りに行くと言った彼。
神社仏閣や祭の歴史と巡行を解りやすく解説してくれた90分。
その後、東京で再会をはたし、友好を温めた。
彼は結婚をし、私に設計依頼をしてくれ親の隣りに家を建てた。
年一の酒会の話題は子どもの事だ。実に嬉しそうだった。
彼の父親が他界した後、
お客様や現場の事で多忙を極めていた時、
携帯に彼からの着信記録が有った。
電話に出たのは奥様で、彼が亡くなってまもなく告別式だと言う。
彼の所在を聞くと式場で、面接には立合が必要との事。
すぐに伺いしたが、なぜと思うばかりだった。
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数年が過ぎ、家の改修工事を業者に依頼したが現場を監督して
欲しいと奥様から電話があった。工事完了一年後にまた電話を頂いた。
今度は、隣りの両親の家を改修して、
結婚する子どもの新居にしたいとの事。
古い木造2階建に鉄骨3階建の増築で、住居内は整然とした遺品の山。
古い木造部分は隣家と長屋式で、
雨漏りがあり一部腐朽が進んでいた。
どうする事が最善の改修工事か、健在であれば彼は同意してくれるか、
あれこれ考えて、奥様にご提案した。
有難い巡り合わせをさせて頂きました。